無職は犯罪者予備軍。
そしてわたしは無職・・・・・。
今日もやってきました広島裁判所。
みなさんこんにちは。無職2年目、予習に余念のないA係長です。
YOUは何しに裁判所へ。むかしそんな番組があったっけ。
(今でもやってる?)
まあそれはさておき。ついにやってしまったのか?
捕まったと思ったそこのあなた。反省してください。
被告じゃないよ。傍聴だよ。
初めての傍聴から1か月。またまたやってきました。
オドオド通った入口のセキュリティも2度目とあって堂々と突破。
難なく裁判所の中に潜り込むことが出来ました。
それにしても今日はなんだか物々しい。
裁判所前にはテレビカメラが設置されています。
重大事件の裁判でもあるのでしょうか。
ワクワクします。
裁判の傍聴は2回目だけれどもこれが結構ハマるのです。
下手に映画を見るよりも面白い。
なんたって入場無料。
カネかかりません。
しかもノンフィクションの物語。
無職の人や平日休みの人はぜひ行ってみましょう。
予行演習になる人もいるかもしれませんよ。
2度目ともなると勝手知ったるなんとやら。もう迷いません。
法廷のあるフロアに一目散。
ただ今日はやっぱりなんだか様子が違う。朝一にもかかわらず人でいっぱい。
マスコミ関係者がうじゃうじゃ。
やはり何か大きな裁判があるみたい。
そんな人ごみの中でひと際目立つ青ジャージ。前回も見かけた爺さん。
やはり傍聴マニアだったみたい。
そしてこれまた前回裁判中に水を飲んで裁判長から叱られていた紺色ウインドブレーカーの爺さん。
この人もマニアだったよう。
青ジャージを傍聴マニア1号、紺ウインドブレーカーを2号と名付けよう。
そしてわたしは傍聴マニア3号。
今度来るときには赤い服でも着てこよう。
関連:裁判所は誰でも入れる?無職が一日傍聴してみた【予行演習?】
【無職の傍聴日記】男女7人監禁事件は被害者が加害者で加害者が被害者?
それでは今日のラインナップです。
- 男女7人監禁事件【新件】
- 建造物侵入・窃盗事件【判決】
- 殺人未遂・銃砲刀剣類所持等取締法違反事件【審理】
- 覚せい剤取締法事件【審理】
- 傷害事件【判決】
刑事事件は全部で5件。
新件が1件。審理が2件。判決が2件。
「新件」とはその日から裁判が始まるものです(第1回公判)。裁判の最初の部分(冒頭手続)を傍聴することができます。最初からなので事件の流れが見えます。傍聴するならこの新件がおススメ。
「審理」は裁判の続きを行うもので証拠の取調べなどが行われます。さらに別の裁判の日が指定されて裁判が続くこともあります。新件と違って途中からなので流れがつかめません。
「判決」は判決が言い渡されるものです。大体判決は10分程度で終了します。テレビドラマで裁判官が「主文、被告人を懲役○○年に処す。理由は以下の通り・・・・・」というあれです。
どうやらマスコミ関係者の狙いは監禁事件らしい。
我先へと法廷に入っていきます。
そう言えば最近新聞のニュースで見たような気がします。
これはぜひ見なければなりません。
男女7人監禁事件【新件】
法廷に入ると傍聴席は8割方埋まるくらいの大盛況。
普段なら1割も埋まればいいほうなので如何にこの事件の注目度が高いことが分かります。
前2列は記者席専用に変更されてます。
最後方にはカメラマンがスタンバイ。
基本法廷内での撮影は許可されていませんがこの日は裁判が始まる前にマスコミのみ撮影が許可されていました。
撮影時間は1分~2分くらいでしょうか。
開廷前にはカメラは撤収されていました。
普段と変わったことがもう一つ。
スケッチブックを持った人が傍聴席に座っています。
よく新聞やテレビが報じる裁判のニュースで被告人や裁判官の様子を描いた「法廷画」が登場することがあります。これを描いている人ですね。床にたくさんの筆記用具を置いてスタンバイしてました。
いよいよ開廷です。
ここで事件の概要を。
登場人物は被告が7人と被害者が1人。被告はA、B、C、D、E の女性5人とF、Gの男性2人。そして被害者X。被告7人が共謀して被害者Xを監禁・暴行した事件です。
A、B、C、D、E、Fの6人は逮捕。Gは逃走中。被害者Xは行方不明。
今回の被告は逮捕者の内の一人(F)。
被告:30代のヤンチャそうな男性。
ホント見た目がコ・ワ・イ
罪状:監禁。
この事件、一見すれば7人で1人の被害者をフルボッコにしたように思えます。被害者は現在行方不明。安否確認が分かりません。
しかも被害者は70代の高齢者。極悪非道な事件です。
ただ裁判を傍聴していくとまた違う一面が見えてきました。
被告A~Eは被害者Xに対して「お金を預ければ毎月1割ずつ増やす」と言われ投資資金と称して多額のお金を預けていました。その額4,000万円以上。いわゆる出資者です。それが次第に配当が滞るようになり不安にかられ投資資金の返還を求めたが拒否されます。被告5名は投資資金が戻ってこないのではと思いそこで債権回収をFとGに依頼。結果7名で被害者Xを拉致・監禁という流れです。
さらに真実かは分かりませんが現時点での被告の供述によると被害者は実際には投資での運用をしていなかったとも言われています。
見方を変えれば被告5人は投資詐欺に遭ったと思えなくもありません。
ここでこう思う人もいるでしょう。
「この7人は逆に被害者じゃない?」
「自分のお金を取り戻そうとしただけじゃない?」
確かに気持ちは分かる。
せっかく貯めたお金が無くなるのは悲しいものです。
ただし今回は刑事事件。民事事件ではありません。
監禁は立派な犯罪。
これとは別に考えなければなりません。
刑法220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
理由や動機は別にして立派な犯罪行為です。
まあ民事事件として被害者を訴えたらどうなるのか分かりません。
刑事事件では被告。民事事件では原告。
逆の判決が出るかもしれません。
結局正式な手続きで債権回収をしていればこんな結果にはならなかったのではないでしょうか。
被告は監禁罪に対して起訴内容を認めています。
流れとしては減刑を求めると言うことになるのでしょうか。
あとは行方不明の被害者が早く見つかることを願うばかりです。
この後の公判も傍聴出来たら続報をお知らせします。
この事件からわかったこと
被告の女性は会社員や自営業者。債権回収者はちょっと怖い人。
ただ被告女性は会社員や自営業などのどこにでもいる一般人。
弁護士など正式な手続きで回収を依頼していたら起きなかった。
被告ではなく逆に被害者になっていた。
フツーに暮らしていてもいつ何時犯罪に巻き込まれる可能性があると教えてくれる事件です。
建造物侵入・窃盗事件【判決】
先ほどとは打って変わって傍聴席はガラガラ。
マスコミいません。カメラもありません。
傍聴マニア1号、2号を含めてなんと4人。
そのうち1人は3号のわたし。
被告:20代男性
フツーのおにーちゃん。いままで傍聴した経験ではいかにも犯罪者って人は少ない感じです。
さっきは見た目怖かったけれども・・・・。
多くはフツーの人が犯罪者になります。
罪状:建造物侵入・窃盗
判決:懲役1年2か月(執行猶予ナシの実刑判決)
事件の概要
以前勤めていた飲食店に複数回侵入して金銭を窃盗。被害金額15,000円。
1年2か月の実刑判決。
被害金額が少ないこともあり執行猶予かとも思ったけれども実刑判決となりました。
理由としては別の事件で執行猶予中。被害者の処罰感情が強いこと。
この2つの理由で実刑になってしまったようです。
前回の万引きのおばあちゃんも700円で実刑判決。
その理由も執行猶予中。
仏の顔も三度までと言われますが2回でアウトです。
現在わたしと同じく無職。
まだ若いし刑が明けたら就職してフツーの生活に戻れるといいですね。
殺人未遂・銃砲刀剣類所持等取締法違反事件【審理】
今回は傍聴者が少し増えて10人くらい。
もちろんマニア1号の爺さんもいます。ただ2号はいない。帰ったか。それともマニアではなかったか。
ただ3号はいます。
もしかしたらホントの2号はわたしかも。
被告:70代男性。
よぼよぼのおじーさん。
罪状:殺人未遂・銃砲刀剣類所持等取締法違反。
事件の概要
新件ではないので詳しくは分かりませんが会社役員を刺した疑いで逮捕されています。
ただ見た目はどーみてもよぼよぼのじーさん。
しょんぼりして弱弱しい感じ。
証人尋問では精神科の医師が登場。
妄想性障害や認知症について説明しています。
責任能力を争っている感じです。
ただやはり裁判の途中から傍聴すると流れが分かりづらい。
途中退席。
覚せい剤取締法事件【審理・判決】
傍聴席には5~6人。
もちろん1号のじーさんはいます。最前列です。
2号はいない。
やはり2号は私が名のることにしましょう。
2号のじーさんは3号に格下げです。
あとは親子連れ。社会勉強なのでしょうか。
もし次回もいたらこの親子には4号と5号の称号を授けよう。
審理が始まりました。
裁判長と弁護士2人と書記官と役職の分からないもう一人。そして検察官1人の布陣。計6人。
弁護士はおじさんともう一人はかなり背の高いすらっとした如何にもエリート感満載のビシッとスーツを着た若者。
しかも外国の人です。
法曹界も国際的になってます。
「では審理を始めます」
裁判長が被告は被告席にと言います。
その時です。
弁護士席に座っていたすらっと背の高い外国人の若者が立ち上がりました。
そうですこの外国人は被告でした。
弁護士ではありませんでした。
エリート感満載と言っちゃったよ。
お前被告かよ。
役職の分からない人は通訳さんでした。
被告:20代~30代 男性 外国の人。日本語は喋れないよう。
ホント見た目はエリート感がある。ビシッと決めたスーツ。
罪状:覚せい剤取締法違反
事件の概要は
被告が海水浴場に遊びに行ったときに知人に遭遇。その知人から覚せい剤の売人を紹介されてその場で購入。その後使用したときに気分が悪くなり救急車で搬送される。覚せい剤使用がバレる。逮捕。
それにしても海水浴場で覚せい剤が買えるなんて・・・・。
怖すぎるぞ日本。
裁判自体は将棋の駒を定石どおりに打つような感じで粛々と進行。
弁護士も覚せい剤使用に関しては争う意思なし。
再犯可能性が低い事、初犯であることで情状酌量・減刑を希望しています。
弁護士と検察官のやり取りの後しばらくして証人尋問。
被告の知人が登場です。外国の人ですが日本語はペラペラです。
被告の身元引受人となり自分の会社で雇うことを約束。
しかも月給30万円で。
羨ましすぎる。
無職のわたしを30万円で雇ってくれる人なんかいやしない。
このあとも裁判長の質問などしばらく続き終了。
後日判決だと思ったらこの日すぐに判決が言い渡されました。
判決:懲役1年6か月(執行猶予3年)
持つべきものは友達ですね。
傷害事件【判決】
やはり傍聴席には前回のメンツ。
1号の青ジャージのじーさん。
2号のわたし。
4号・5号の親子。
被告:年齢・氏名非公表。女性。
珍しく被告人情報はすべて非公表です。
罪状:傷害。
事件の概要
内縁の夫とともに実子に対する傷害。主導は夫。
被害者が子供。
非公表の訳が分かりました。
傷害の主導は内縁の夫。被告は従属的な関係。深く反省をしている。
被告は内縁の夫と別れて子供と暮らすことを希望。
判決:懲役1年(執行猶予3年)
早く一緒に暮らせるといいですね。
今日の裁判めし
前回はカツカレーを食べたので今回は違うもの。
今日は麺類は無かったので日替わり丼を注文。
ビビンバ丼(味噌汁付き) 440円。
カツカレーも量が多かったけれどもビビンバ丼も結構多い。
これで440円なら大満足。
味もイケる。
しかも静かでガラガラ。
裁判所の食堂は無職にやさしい。
今日のひとこと
裁判所はいろいろな人生が見れる。
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