老後2,000万円問題。
平均年収は30年たっても変わらない。
むしろ下がっている。
生活はますます苦しくなる。
そんな中で声高に叫ばれているのが投資。
みんな投資でお金を増やそう。
投資をすればお金は増える。
若者から年寄りまでみんな投資。
ネコも杓子も投資。
投資が生活を救う。
投資は正義だ。
投資しない奴はバカで情弱。
そんな風潮になっています。
自称投資家はもちろん経済評論家は言います。
10万円が300万円になった。
100万円が2,000万円になった。
1,000万円がなんと1億円に!
個別投資で資産百倍。
「長期投資で30年でこんなになるのですよ」
そんな情報がゴロゴロ転がっています。
これで老後は安心。
でも最後に小声で言うのです。
投資は自己責任。
損してもそれはあなたのせい。
ホントに投資は正義で投資をしないのはバカなのでしょうか。
そしてホントに投資をして損をしたときに自己責任といえる人がどのくらいいるのでしょうか。
【自己責任という怪しさ】投資は正義!貯金するのはバカ?
30年前のバブル期は今では考えられないことが起こっていました。
銀行の普通預金。
1,000万円を1年間預けていたら次の年には1,050万円になっていました。
寝て食べてゴロゴロするだけで50万円。
もっとすごいのは郵便局の10年定期貯金。
10年後には1,000万円が倍の2,000万円に早変わり。
生まれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん。
ぼ~と10年過ごせばいつの間にか1,000万円が生まれていました。
元本保証で1,000万円の利益。
その頃の人は笑いが止まらなかったことでしょう。
貯金よりも投資
2021年時点で個人の証券口座数は3,000万に迫っています。
複数口座を持っている人もいるでしょうけれどもおよそ4人に1人の国民が投資を行っていることになります。
そうしないとお金が増えないから。
銀行や郵便局にお金を預けてもお金は現在は増えません。
普通預金の利率は0.001%。
定期預金ですら0.002%。
仮に100万円預けていたとしたら1年後には10円の利息にしかなりません。
もちろんこれから税金が引かれます。
馬鹿らしくなります。
一方比較的リスクの低いといわれている長期積み立て投資は3%以上と預金よりも多くの利回りを得ることが出来ています。
コツコツ長期で積み立て投資。
人気です。
やっぱり投資は儲かる。
長期積み立て投資なら安心安全。
「やらない奴はバカ」
「みすみす損している」
「なんでこんなに簡単にお金儲けができるのにしないのか」
でも最後に小声で言います。
投資は自己責任。
損したらそれはあなたのせい。
お金が増えるといいながら最後は自己責任。
なんだか違和感を覚えます。
ウサギとカメの物語
むかしむかしウサギとカメが競争しました。
ある時、ウサギに足の遅さをバカにされたカメは、山のふもとまで長距離走の勝負を挑んだ。走り始めると予想通りウサギはどんどん先へ行き、とうとうカメが見えなくなってしまった。ウサギは少し疲れていたので、少しくらいなら寝ても大丈夫と余裕綽々で居眠りを始めた。その間にカメはウサギを追い抜き、ウサギが目を覚ましたとき見たものは、山のふもとのゴールで大喜びをするカメの姿であった。
普通なら楽勝のウサギがカメに負けた。
「歩みが遅くとも脇道にそれず着実に真っ直ぐ進むことで最終的に大きな成果を得ることができる」
コツコツ頑張るものは救われる。
めでたしめでたし。
カメさん勝ってよかったね。
ウサギが負けてざまあみろ。
判官びいきの日本人には受ける話です。
物語はめでたしめでたしで終わるのですけれどもこれは空想の話であり現実的なことではありません。
現実にはウサギが負けることやカメが勝つことは殆どありません。
長期積み立て投資でみんなハッピー
カメさんのように長期で積み立て投資で30年後には資産倍増。
みんなそう言います。
みんなでやれば怖くない。
みんなお金が増えてハッピー。
確かに今はそうです。
この30年間多少のくぼみはあるにせよ株価は右肩上がりになっています。
30年前から積み立て投資を始めた人は資産は増えているでしょう。
投資人口が増えた今さらに増えるはずです。
投資人口が増えたら投入される資金も増えさらに株価が上がる。
いい回転が生まれます。
坂道を転がる雪だるまのように大きくなっていく。
ねずみ講
ねずみ講というマルチ商法があります。
犯罪です。
ネズミ講(ネズミこう)とは、後に無限連鎖講と呼ばれることとなった連鎖配当組織のことである。ネズミ講の「ネズミ」はねずみ算式に増幅することの例えで、「講」自体に悪い意味はあまりない。現在の日本では、無限連鎖講の防止に関する法律によって該当するものを罰則を持って禁止している。階層状の組織を形成する特徴からピラミッド・スキームとも言われる。
Wikipediaより
ねずみ講は親がいてその下に子がそしてまたその下に孫・・・・
お金は下から上に流れていく仕組みです。
早くやったもの勝ちです。
頭のいい親は儲けがキリのいいところまでいったら抜けていきます。
勝ち逃げします。
捕まらなければハッピーになれます。
長期投資も同じです。
早く始めたものが勝ち逃げします。
「投資は儲かる」
「投資をしない奴はバカだ」
しきりに投資を進めます。
投資資金流入を増やします。
そして株価を上げる。
上がったところで勝ち逃げします。
逃げた後小声で言います。
投資は自己責任。
損したらそれはあなたのせい。
長期積み立て投資でみんなアンハッピー
株価が上がってきたところで利益をかさらっていく悪人がいます。
儲かったところで売り抜ける。
長期投資は確かに右肩上がり。
でもそれは長い目で見ればデス。
下がる期間もある。
もし長期不況になり回復まで何十年もかかればその期間に投資をしている人はみんなアンハッピーです。
資産を増やすつもりが逆に急降下。
そんな時は大声で言うでしょう。
投資は自己責任なんかじゃない。
損したらそれは損をしないといったお前のせいだ。
「儲かるといったじゃないか」
どうしてくれるんだと。
そしてこう思います。
こんなことなら貯金でもしておけばよかったと。
とはいえ・・・・
でも現実にはお金を増やそうと思ったら投資が一番簡単なことなんですよね。
ただウサギとカメの物語じゃないけれども世の中ありえないこともあります。
長期投資はお金が増える。
やらなきゃソンソン。
貯金する奴はバカ。
でも長期不況になって株価が暴落したら投資をしているほうがバカ。
一寸先には投資もバカ。
投資もギャンブルも考え方は同じ。
損をするという思考はありません。
お金が儲かると思うからやる。
そして損をする。
もしかしたら何もやらないのが一番なのかもしれません。
まあそりゃないか。
今日の一言
投資は自己責任。損をしたときにそう言える人は何人いる?
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