デパートが斜陽産業と言われて久しいですが相変わらず苦戦しています。
苦戦と言うより瀕死の状態。
2020年は1月に山形県の老舗百貨店「大沼」が負債30億円を抱えて破産を申請したのを皮切りに8月末までに全国で12店舗が閉店。
特に春から夏にかけ「新潟三越」「そごう・西武」の地方4店舗、福島県の老舗百貨店「中合」など、地域の有力店舗の閉店が集中する異常事態となっています。
百貨店ゼロの県(山形・徳島)も。
コロナの影響が大きいのは勿論ですがそれ以前に構造的な問題が大きいと言わざるを得ません。
デパートと言えばひと昔前なら誰もが憧れる「小売りの王」
物産展や○○店など開催されるとたくさんの集客があり賑っていました。
それが今や「小売りの一人負け」状態になっています。
デパートは殿様商売でその名前にあぐらをかいていると言われてこともありました。
「スーパーやCSより上」そのプライドで成り立っています。
以前ならそれでよかったかもしれませんけれども今はそんなこと言ってられません。
なぜこうなってしまったのか。
SC(ショッピングセンター)やEC(インターネット取引)の台頭など競合他業種の増加も考えられますがそれ以上に対応を誤った事が最大の原因だと思います。
デパートはなぜ凋落したのか
百貨店の収益率は約20%から多い所でも30%ですが今や20%を切っているところもあるのではないでしょうか。
ここから人件費・光熱費などの固定費を差し引くと残るのは数%です。
売上が低下すればすぐに赤字。
もともと利益は低い構造になっています。
昔は多くの人が来店して買ってくれて売り上げが多かったので成り立っていましたが来店客が減った今はかなり厳しい状況になっています。
百貨店の顧客はどんな人なのか?
その昔、百貨店の売上は上位20%の上得意客で80%の売上を取っていたとされています。
いわゆる「お金持ち」が対象のお店です。
年齢もメインは50代から70代。
若い人の割合はごくわずかです。
昔は親子3代にわたって利用した人たちもいましたが、最近はめっきり減って世代交代も出来ていません。
年齢構成を見たら50代以上が80%で一部では60代以上が80%という所も。
若年層の獲得が必要ですがなかなか取り込めていません。
メインターゲットの高齢者も年々少なくなったのも大きいでしょうね。
デパートの現在
百貨店の本来の姿はいろいろな商品が一か所で買えるワンストップショッピング・定価販売・豪華な施設・接客販売・一物一価・高価格帯商品などですが現状は違います。
家具売り場や電気売り場などが抜けワンストップも出来ず、セールが横行、接客レベルの低下、どこにでもある商品、代り映えしない建物。
これではCSの方がデパートと呼べるかもしれません。
高額品が売れないから安いものを販売する。
品質の低下が起こるから更に売れない。
螺旋階段を転がり落ちるような感じになっています。
中途半端な価格帯
高級品が売れないから価格帯を落とす価格帯を落とすからますます売れない。
それが更なる顧客離れを引き起こしています。
もともとデパートは高額品を売って成り立っていました。
買う側も「高いものを買う」「自分は高級なものが買える」そういう見栄や満足感で買い物をしていたハズです。
それが誰でも変える商品が並んでいたら本来買っていた人たちも敬遠していきます。
しかも価格帯を落とせば品質の低下は免れません。
そもそも百貨店は高品質なものを販売してその信用で成り立っているものです。
「高いけれども品質はいい」お客さんはその信用にお金を払っています。
安易に価格を下げて品質を落とせば先は無いと思います。
衣料品が最たるものです。
中途半端に値段を落とすために海外で生産。
値段は下がったけれども品質低下して客離れを起こしています。
デパートでお得に買う裏技・賢い利用方法【これが最強の利用方法6選】
逃げる取引先
昨年のレナウン倒産、オンワード樫山・ワールドの縮小。
取引先がどんどん撤退しています。
まるで沈む船からねずみが逃げるように。
今後まだまだ取引先の倒産・縮小が続き売場からショップが消えていくでしょう。
空き店舗を埋めるのに苦心。新たに入る取引先はレベルダウンし、質の低下が更なる客離れを。
地方デパートは「売場の小規模化」もしくは「撤退」を余儀なくされることになるかもしれません。
遅れたEC事業
最近ECに力を入れ始めていますが、うまくいっているところは少ないようです。
「売上高前年3倍」とか言ってますがもともとの売上が少なかったので成功したとは言えません。
そりゃ今までやっていなかったので急に売れるわけはないでしょう。
まだまだ時間はかかるでしょうね。
というか後発で他に追いつくかは疑問ですが。
デパートでECで買う理由が見当たりません。
高額品を売るのがメインのデパートでネットで買える商品は限られます。
買うなら既存の通販で買えば済むような。
デパートの通販が魅力的にはならないような気がします。
ブランド頼みが首を絞める
ハイブランドを集めれば回復するのか。
カルティエ・シャネル・ヴィトン・ブルガリ・ロレックスなど各社誘致にしのぎを削っています。
地方では特に集客は高級ブランドの数で決まります。
ただブランドは利益率が低くたかだか数%~十数%でしかない。
売上が取れても利益率は下がる。
競合他店をつぶすのには役立つかもしれませんが利益を下げて終わるだけかもしれません。
ブランドで人を集めて他の利益率の高いモノを売る。
うまくいけばいいのですが。
堅実経営がなぜ駄目なのか
本来なら堅実経営をしていれば安泰のハズ。
昔なら本業以外で失敗して倒産する店がほとんどで本業が原因で潰れる事はありませんでした。
例えば不動産投資や株式などへの投資に失敗した倒産。
でも現状では堅実経営をしているところは本業以外にカバーできるものがありません。
回復の兆しがない今かなり厳しい環境になっています。
堅実経営が裏目になるそんな状況。
まさに四面楚歌。
売上が戻るのを待つだけの状態です。
今更、本業以外に手を出してもうまくはいかないでしょうけど。
個人的には回復して欲しいですけどこれからまだまだ潰れていくのでしょうね。
クリックお願いします。
クリックしてもらえるとわたしのぐうたら度がパワーアップします。
今日の一言
個人的には応援しているのですけれども。
コメント